難病のALSを発症した患者に対する介護時間を、1日21時間に増やすよう命じた和歌山地方裁判所の判決について、和歌山市は、控訴しないことを明らかにしました。
和歌山市に住む75歳の男性は6年前、筋肉を動かす神経が徐々に侵される難病の「ALS」を発症し、市に対し24時間の介護サービスを求めて裁判を起こしました。
男性は自発呼吸ができず、昼夜を問わず痰の吸引などが必要です。
しかし、市が障害者自立支援法に基づいて派遣するヘルパーの介護時間は1日12時間で、それ以外の時間は74歳の妻が原則ひとりで介護しなければなりません。
【男性の妻】
「あの病気はほんまにひとりでできない。晩が肝心」
和歌山地方裁判所は去年、判決が出る前の緊急措置として、介護時間を増やすよう義務付けましたが、市は決定を不服として応じませんでした。
しかし、25日の判決で、和歌山地方裁判所は、「現在の支給時間は高齢の妻の心身の状況を考慮せず違法なもの」として、介護サービスを1日21時間に増やすよう市に命じたのです。
男性側は、市に対し控訴しないよう求めていました。
【大橋建一和歌山市長】
「原告の病気が進行性であること・家族の健康状態等を考慮して、和歌山地裁の判決を厳粛に受け入れるべきと判断した」
市の内部では「適切に対応してきたのに・・・」という不満の声もありましたが、最終的に控訴しないという結論に至ったということです。
【男性の妻】
「心配してました。きょう聞いて安心しました。やれやれやと思ってます」
和歌山市は、今後男性の家庭の実態を改めて調査し、介護サービスの時間を正式に決めるということです。
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