心臓にはなぜ「がん」が転移しないのでしょうか。
心臓から分泌されるホルモンで作られた薬をがん患者に投与すると再発を抑えられることが、国立循環器病研究センターの研究でわかりました。
国立循環器病研究センターの寒川賢治研究所長らは、心臓でがんの転移が起こらないことに目を付け、心臓から分泌されるANPというホルモンで作られた治療薬を使ってマウスによる実験を行いました。
乳がんや大腸がんを移植されたマウスは、何もしなければ1ヵ月ほどで肺などに転移して死亡するところ、この治療薬を投与するとほとんど転移していなかったということです。
これは、体内のがん細胞が他の臓器の血管を通るときに転移しようとするのを、ANPの働きが血管を保護したためだということです。
この治療薬は本来、心不全を抑える薬で、寒川所長らががんを併発している患者の手術に使ったところ、2年以内の再発がほとんどなかったこともわかりました。
寒川所長らは今後、ANPの治療への適用の拡大を目指したいとしています。
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