2005年、乗客106人が死亡したJR福知山線の脱線事故で刑事責任を問われていたJR西日本の前の社長・山崎正夫被告に対し、無罪判決が言い渡されました。
神戸地方裁判所は「JR西日本の安全対策は期待される水準に及ばないところはあったが、山崎被告個人については過失は認められない」と指摘しました。
「被告人を無罪とする」
判決言い渡しの瞬間、山崎被告は直立不動のまま、裁判長を見つめました。
遺族の一人は表情を変えることなく、一言一句を聞き漏らすまいと内容を書き取っていました。
乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故。
山崎被告が問われた「過失」は、事故の9年前に行われたある工事までさかのぼります。
96年、JR西日本は、事故現場のカーブをそれまでの線路より急なものに付け替え、さらにその後のダイヤ改正で快速列車の本数を約3倍に増やしました。
これらを踏まえ、検察は、当時安全対策を統括する鉄道本部長だった山崎被告が、事故の危険性を認識しながら、ATS・自動列車停止装置の設置を見送り事故を招いたとして起訴し、禁錮3年を求刑しました。
【山崎前社長(2009年7月)】
「脱線するような猛スピードでカーブに進入することは想定してなかった」
これまでの裁判で山崎被告は一貫して無罪を主張し、判決を迎えました。
鉄道事故で経営幹部の刑事責任を問う異例の裁判。
最大の争点は山崎被告が現場カーブの危険性を認識し、事故を予見できたかどうかです。
神戸地方裁判所の岡田信裁判長は「当時日本の鉄道事業者では、個別のカーブごとに列車が転覆する速度を計算する考えは無く、危険性を認識するのは容易ではなかった」と指摘。
「山崎被告が事故を予見することはできなかった」と結論付け、無罪を言い渡しました。
一方「JR西日本の安全対策は、カーブにおけるATS設置のあり方などに問題があり、組織として期待される水準には及ばなかった」と、指摘する場面もありました。
閉廷後には山崎被告のコメントが発表される予定です。
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