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津波で流された“父の形見の船” 兵庫から岩手の家族のもとへ

東日本大震災による津波で、岩手県大槌町から流され去年末に兵庫県香美町でみつかった船が、1年ぶりに持ち主の家族の元に届けられました。 12日の朝、岩手県釜石市に到着した1台のトラック。 荷台には、傷のついた漁船が乗せられていました。 この漁船は、1200キロ以上離れた兵庫県香美町から届けられたものです。 【野崎貞治さん】 「懐かしいですね。父は船のここによく座って操船していました」 岩手に船が戻るのは1年ぶり。 しかし、持ち主は津波で亡くなっていました。 去年の大晦日、兵庫県香美町の沖に流れ着いたところを発見された「第三長栄丸」。 その後、岩手県大槌町を襲った津波で流され、行方不明になっていた船だと分かりました。 しかし、船の持ち主の野崎長一さん(当時63)は津波に飲まれ亡くなっていたのです。 知らせを受けた遺族が引き取りを希望し、香美町の建設会社の社長たちが無償で届けることを申し出ました。 【建設会社社長・仲村正彦さん】 「辛い思いをされてますので、何とか無事に届けたいなと。とにかく前を向いて進んで行って欲しいということをお伝えしたいと思います」 震災からちょうど一年となる11日、船は岩手に向け出発しました。 そして11日、船は香美町からの応援メッセージとともにおよそ21時間をかけ長一さんの息子・貞治さんの元へ届けられました。 自宅は流され、この船が長一さんの数少ない形見となりました。 【貞治さん】 「うちの親父です。おやじの代わりにお礼を申し上げます。ありがとうございます」 「おかえりなさいですよね。おやじがいないのは残念だけど、舟が戻ってきたのは明日からの生きていく希望になる。何か目標ができたような感じで…船を直して海に浮かべるって目標ができました」 【仲村さん】 「しっかり頑張って生きて行ってください」 【貞治さん】 「この日のことを胸に刻んで頑張ります」 1年の時を経て家族の元に戻ってきた形見の船。 船が乗せてきた希望が、被災地の人々を励まします。

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