東大阪市で生活保護を受給している30世帯の親族に、市の職員がいることが分かりました。
職員には一定の収入がありますが、「扶養は出来ない」と答えています。
生活保護費が今年度予算の18%と、財政を圧迫している東大阪市。
今月、生活保護を受けているすべての世帯の記録を見直したところ、30世帯の親族に市の職員がいたことが明らかになりました。
職員の平均年収は約715万円。
自治体は生活保護の支給を決める際、親族に扶養する能力があれば金銭的な援助を促すことにしていますが、職員たちはいずれも「扶養出来ない」と回答したということです。
【東大阪市生活福祉室・平田厚之 室長】
「『自分自身がローンを抱えている』『親子が不仲』というのが理由。『援助はできません』と言われたら、それを踏まえて必要な保護をする」
生活保護をめぐっては先月、人気タレントの母親が受給していたことが問題になったばかり。
専門家は、親族への調査を厳しくするべきだと指摘します。
【関西国際大学・道中隆 教授】
「(行政スタッフは)1人で140~160のケースを担当しているので、とても(扶養親族の調査まで)回れない。受給者本人の家庭訪問さえままならない。まずは体制の整備が大事」
一方で、生活困窮者の支援を行う弁護士は、親族による扶養を厳しく求めた場合、本当に必要な人が受給できなくなると訴えます。
【小久保哲郎 弁護士】
「生活保護を受けている人というのは、虐待・DVとか親子関係が破壊されている場合が多い。ただでさえ、扶養義務者に対する照会を嫌って申請をとどまる人が多い中で、それがさらに厳しくなると、申請を思いとどまる人も増える。餓死や孤独死が増えることにつながると思う」
東大阪市では今後、該当する職員に聞き取り調査を行い、扶養が可能かどうか改めて確認することにしています。
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