大阪府岸和田市で、18日から絵手紙の展覧会が開かれています。
名もなき人たちに光を当てたいと絵手紙作家が選んだテーマは、国を相手に裁判を続けるアスベスト被害の原告たちでした。
184枚の絵手紙は、アスベスト被害者たちの戦いの記録。
国に翻弄され続けた庶民の姿を感じるままに描いたものです。
展覧会を開いた絵手紙作家の中村千恵子さん(63)。
2年前に出会った原告の訴えに心を動かされたことがきっかけでした。
【中村千恵子さん】
「原告の赤裸々な心からの訴えに『とても大変なことだ』と思った」
大阪府泉南地域のアスベスト工場で働いていた元労働者や近隣住民が健康被害における国の責任を訴えた裁判。
大阪高等裁判所は、今年8月、「厳しすぎる規制は産業の発展を阻害しかねない」として国の責任を認めた一審判決を覆し、原告全面敗訴を言い渡しました。
原告たちはその翌日から東京に入り、判決への抗議活動を続けました。
行動をともにした中村さんは、原告たちの表情を見つめ悲しみや怒りを絵手紙に残したのです。
中村さんの絵手紙は、苦しみの中を懸命に生きる名もなき人たちに光を当てようとしています。
【中村千恵子さん】
「こんなことがあるのかと興味をもっていただいたら、困っている人が救われるんじゃないか、小さな力やけどやっていきたい」
会場にモデルとなった原告たちがやってきました。
絵手紙は記憶を鮮明に呼び起こします。
【原告・岡田陽子さん】
「私たちにとっては普通の絵手紙ではなくて戦ってきた記録。アスベストを知らない方にも目にしていただける機会を作っていただいてすごく感謝してます」
最高裁判所での勝訴を信じて、原告たちの戦いは今も続いています。
絵手紙展は今月18日まで、岸和田市の自泉会館で開かれています。
※午前10時~午後5時
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