兵庫県の尼崎公害訴訟の和解条項に基づき、大型車の交通規制が検討されていた国道43号線で、独自の通行ルールが設けられることになりました。
和解から11年、環境改善の切り札となるのでしょうか?
尼崎市を走る国道43号線。
現在は車線を問わず、多くのトラックが走っていますが、近い将来この光景が変わることになります。
国道43号線は、車の排ガスによる大気汚染が公害訴訟に発展した場所です。
今から23年前、ぜんそくなどを患った周辺住民たちが国などを相手に裁判を起こしました。
10年を超える戦いの末、住民たちは2000年、「国側が大型車の交通規制などを行う」という和解を勝ち取ったのです。
しかし、2年前には、43号線周辺から阪神高速湾岸線に大型車を誘導する対策がとられたものの、沿線の排ガス濃度は依然として基準値を上回ったたまま。
住民たちが抜本的な環境改善を求める中、国土交通省は22日、独自の通行ルールを設ける方針を明らかにしました。
新たな通行ルールでは、43号線の尼崎市と芦屋市の間で歩道寄りの車線を「環境レーン(仮称)」に設定し、普通車や二輪車専用にします。
大型車には中央よりの車線を走行するよう求めることで、周辺住民の排ガス被害を軽減するということです。
このルールに罰則規定はありません。
【大型車の運転手】
「(周辺住民にとって)騒音と排ガスは厳しい。中央寄りでいい」
「困る。今でも渋滞してるのにこれ以上渋滞したら困る」
【尼崎公害訴訟原告団長・松光子さん】
「ひとつの節目。これから実行してもらってどうなるか。やってみないと分からない」
国土交通省は、今年度内にも新しいルールの運用を開始したいとしています。
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