平屋の建物しかなかった兵庫県たつの市の龍野城で、天守閣が建てられています。
完成を間近に控えたこのお城には、「ある秘密」が隠されています。
「播磨の小京都」と呼ばれる兵庫県たつの市。
町を見下ろすように建つ龍野城では、天守閣の工事が急ピッチで進んでいます。
【河瀬晃子記者リポート】
「龍野の城下町を一望できるこの天守閣、お姫様になったような気分です」
完成すれば高さ15m、3層の立派な天守閣。
以前に存在した天守閣の「再建」かと思ったら…。
【龍野商工会議所青年部・金冶秀明さん】
「城主の脇坂さんが天守閣を建ててみたかったのではないかと、勝手に想像して造ってみた」
現在残っている龍野城は、江戸時代の1672年、信州飯田から移った藩主・脇坂安政が再建したもので、実は元から天守閣はありませんでした。
【市立龍野歴史文化資料館学芸員・市村高規さん】
「脇坂もそんなにこだわりはなかっただろう。新規に何か建てる場合、絵図面をつけて幕府に願い出て許可を得なさいと老中から指示を受けていて、そういう大変なことは財政的にもできなかったのではないか」
幕府の老中から届いた「龍野築城につき老中奉書」にもそのことが記してあります。
天守閣は敵が攻めてこないか監視するためのもので、太平の世には必要のないものでした。
【金冶さん】
「(文献は)全く見ていない。今年は震災・水害など寂しい出来事が多かった。何とかみんなに笑顔になってもらえないかと」
総工費は140万円。
えっ、それだけで天守閣が建つの?と思ったら…。
実は漆喰の壁も、屋根瓦も、すべて発泡スチロール製なのです。
27日までの展示期間が終わったら、取り壊される予定です。
【記者】「あさってにはつぶれてしまうけれど…」
【地元の子ども】「は、早い…」
【地元の女性】「140万円だったら3日間ではなく駄目になるまで置いておいて欲しいな」
藩主の340年越しの夢?…かどうかはともかく、天守閣の姿が見られるのは、この週末だけになりそうです。
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