奈良県警の警察官が追跡中の逃走車両に発砲し、助手席に乗っていた男性を死亡させたことは「殺人罪に当たるのかどうか」を市民が裁く裁判員裁判が始まりました。
被告の警察官2人は無罪を主張しています。
2003年9月、奈良県大和郡山市の国道24号線で、窃盗容疑で追跡されていた車が一般車両に衝突を繰り返しながら逃走を続けました。
この車に対し奈良県警の警察官4人が拳銃8発を発砲し、このうち、助手席側から撃った2発が、助手席に乗っていた高壮日さん(当時28)に当たり、死亡しました。
奈良地検は警察官4人を起訴しませんでしたが、公務員の職権濫用を巡っては、裁判所に裁判を開くよう求める「付審判」という制度があり、今回は高さんの母親の請求で裁判が決まりました。
【高さんの母・金順得さん】
「人一人を殺しているんだから、それを謝罪してちゃんとして欲しいです。ここまでして裁判が認められたことは喜んでいます」
特別公務員暴行陵虐致死と殺人の罪に問われているのは、高さんに致命傷を与えた警部補の萩原基文被告(35)と巡査部長の東芳弘被告(35)の2人。
付審判で殺人罪が審理されるのも裁判員裁判で裁かれるのも、初めてです。
22日の初公判で2人は「逮捕するために運転手の腕を狙ったもので、車が動いていたため結果的に高さんに当たってしまった」と無罪を主張しました。
一方、検察官役の指定弁護士は「2人は助手席に人がいることは分かったうえで、死んでもやむを得ないと思って発砲していて、未必の殺意があった。他にも方法があり発砲は違法」と主張しました。
【金さん】
「息子が撃たれて無罪なんてありえない。正当な判断をして欲しい。裁いて欲しいです」
警察官の職務中の発砲が殺人罪にあたるのか…。
一般市民が判断する異例の裁判は、来月28日に判決が言い渡される予定です。
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