「軽くて柔らかいけど、傷つきやすい」。
そんな木材、杉の常識を覆す、驚くほど頑丈な杉の床板の開発に奈良県の会社が成功しました。
ことし4月、奈良県庁で披露されたのは、一見すると何の変哲もない杉の床板。
【開発した会社「ホーテック」・堀内嘉久 社長】
「(右手の板)傘でこすると、これで傷ついてしまいます。こちら(左手の板)はつかないんです…」
この床板、あの有名な吉野杉なんですが、いくらこすっても、いくら叩いても傷がほとんどつきません。
開発したのは奈良県大淀町の木材加工会社。
県と共同で2年間試行錯誤して作り上げたこの不思議な床板を『ハードフローリング』と名付けました。
【堀内社長】
「杉というのは、木自体に断熱性があり触ると暖かいという良さがある。その反面、柔らかいから傷がつきやすいということで、なかなか杉のフローリングを使ってもらえなかった」
杉の木材を硬くするには、全体を圧縮したり、空気層を樹脂で埋めたりする方法がありますが、断熱性が損なわれてしまいます。
堀内社長らは、木材を加熱しながら表面だけを押し潰して強化し、表面に特殊な樹脂をコーティングする技術を開発しました。
これにより、断熱性を保ったまま、何も加工していない杉の9倍の硬さを持つ木材が誕生。
ドライバーでいくらひっかいても、傷がつきません!
【堀内社長】
「奈良県の場合は70数%が森林ですので、そういう恵まれた材をこれから如何にたくさん使うかということ。そのためには新しい品物を作ってお客さんに喜んでいただけるものを作らないといけない」
この傷つきにくい床板を早速取り入れた家が、天川村にあります。
大広間いっぱいに敷き詰められた床板はまるで木のじゅうたん。
家中が杉の香りに包まれています。
去年の台風12号による豪雨で実家が浸水した消防士の南勝美さん(50)は、水に浸かった畳の運び出しに苦労した経験から、床を『ハードフローリング』にすることに決めました。
【南さん】
「せっかく吉野杉のブランドの地ですので
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